ただ君の為に

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教室を開けると、そこには4番でキャプテンの高橋と幼馴染みの野球部マネージャーの明が二人立っていた。 俺が扉を開いた音にビックリする二人を見て、入ったら不味かったのかと焦る。 「あっ、俺邪魔だったかな?....お邪魔しました!!」 あわてて二人に背を向け教室から出ようとした 「待ってくれ!私的な話だか明後日の予選決勝に名 訓高校に勝ったら俺と付き合ってくれと告白したんだ」 やっぱり愛の告白シーンに出くわしたんだと、自分の運の悪さを呪う。 「ん?ああそう。まあ明後日負けることはないから大丈夫だろ。なんて言ったってこの大エースが投げるんだ、高橋は一点とれば甲子園のキップと彼女をゲットできるわけだ良かったな」 この真面目な雰囲気に反発するように明るくハイテンションで答える。 「頼むわよ、秀男!!」 ガッツポーズを小さく作り、俺は彼女のエールに答えたいと誓った。 「ああ、任せろ。」 「秀男、私、甲子園に行きたい。」 何に影響されたのか小学1年生の頃に明が言い出した。 「ふふん、明よ。俺みたいな天才なら甲子園に連れていくなんて簡単よ」 「本当に、甲子園連れてってくれたら大好き、結婚してあげる」 下らない会話だったそれが12年程の長い時を有する約束となり後一歩で叶う。 明後日で明との約束は終わる。 叶えられるかどうかは、わからないけど約束は終わる。
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