ただ君の為に

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試合当日 朝起きて右肩の状態を確かめる。 半年前から痛みは日に日にましていく。 医者からは今すぐメスをいれて約1年程のリアビリで回復すると言われた。 だが、俺はメスを拒否し周りにも教えずに、そして練習でもあまり投げずに肩を休ませていた。 しかし県大会に入り全力投球が肩にとどめをさそうとしている。 今日も病院で痛み止めを打っての試合にのぞむ。 「球児は今しかみてないから無茶をする。 本当は君を試合に出すべきではないんだが、患者の意志が優先だからね」 「まあ、未来のことは今日の試合勝ってから考えますよ」 未来は本当に在るのだろうか、今日が俺の最高潮なのではないだろうか。 などと考えても仕方なく、今日の決戦の会場に向かう為に病院を後にした。 「本当に明かりのことが好きなんだな」 「ん?ああ、そうだな」 会場に向かう途中後ろからボソッと呟いた声に無意識に返事をしてしまったことに赤面し振り替える。 「お前いつからいた」 振り替えると小学生の頃からバッテリーを組む親友 巧がいた。 「何を言ってるんだ?僕はいつでも君の側にいるよ」 なんでメンヘラキャラ何だと突っ込まず、ああそうですかと受け流す。 「なあ、明里と高橋って付き合ったらどう思うよ?」 先日の告白を思いだし、話のネタに聞いてみた。 「あん?背後からバットをフルスイングよ」 酷い冗談だと笑ったが巧の顔はマジで少し引いた。
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