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１年後、健康になった遥は、俺が使っていたスマホのメールを見て
俺のとった行動のきっかけを知ることになる。
「私の命よりも大事な人は、自分を犠牲にして、私の命を救った。
あなたは、もう、いない。」
ひとりつぶやいても、誰も返事をしない。
遥は、俺がもはや存在しない世界を生きることになってしまった。
遥は自分だけ幸せになった浩介を羨ましたかった。
想い出だけを胸に抱えて１０年が過ぎた。
その間、遥に言い寄る男は大勢いた。
どんな男が現れようとも、言葉だけが遥かの肩越しに通り過ぎていく。
遥は実験段階にあった丁度１０年前の過去にメールを送れるスマホを使う
機会を得た。あと１時間で浩介が飛び込んだ時から１０年後の瞬間が来る。
遥は必死に考えた。
「あと１時間で浩介が飛び込む。」
今、自分にできることは何だろう。
とっさの判断で、１０年前の俺にメールを打った。
「新しい恋人ができたの。さよウなら。」
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