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――――
――
遼との電話を終わらせから、もう、しばらくの時間が経っている。
時計を見ると、針はもうすぐ天辺を差そうというところまで来ていた。
――午前0時まで、あと少し。
肩に力を入れて、スマートフォンを、しっかりと握る。
あの日届いたメールの『半年後』というのは、ちょうど明日の事だ。
そして、内容を思い返してみると、まさにあのメールに書いてある事そのままの半年間だった気がする。
毎日、いろいろ大変だった。
でも、一生懸命がんばった。
――そして。彼氏が出来た。
嘉穂だって、すごく喜んでくれた。
わたしは今、とても幸せだ。
「…………」
午前0時になった。
誰に対して、というわけでもなく、わたしは部屋の中で小さくうなずいて、過去の自分に向けて、メールを送信する。
半年前に届いたものと、まったく同じ内容の、文章を。
――送信、完了。
同時に、嘉穂とわあわあ騒いでいたあの日の自分が甦って、少し笑ってしまう。
「……がんばれ、半年前のわたし……」
わたしはスマートフォンを胸に抱いて、天井を仰いだ。
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