桐島夏美 ―今―

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当たり前だけれど、『その話』を本気で信じていたわけではない。 ……だからこそ。 その表示を見た時、わたしはものすごい動揺して、動転して、パニックになって……とにかく、慌てた。 ――新着メールを1件受信しました。 あやうくベッドから転げ落ちそうになって、つんのめったように傾いた身体を、なんとかふんばって、元の状態に戻す。 心臓が、ものすごい音で鳴っている。 とにかく、まずは落ち着かないと、どうにもならない。 手汗をパジャマの袖で拭って、ゆっくりと深呼吸をしてみる。 そうして、ちら、と隣に座っている嘉穂の顔を覗き見た。 ――先ほどまで眠そうにしていたのに、それが嘘だったかのように大きく目を見開いている、嘉穂。 どうやらわたしだけではなく、嘉穂にも『届いた』らしい。 ゆっくりと顔を動かして、ようやく、目が合う。 そのまま、もう喉のところまで出かかっていた言葉を、ふたりで、叫んだ。 「ホントに来た……っ!!」 ――それにしても、いったい何がどうして、こんな話になったのか。 それは、今からだいたい2時間ほど前にまで遡らなければならない。
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