桐島夏美 ―今―

4/6
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「……何?」 「ほら。ナツ、今『未来を予知出来たら』みたいな事言ったでしょ」 「……え、うそ。カホ、未来を予知する方法知ってるの? ……え、え、うそ! ホントに!? 実はそのチカラを使って、テストでいつもいい点が取れるとか!?」 「……いや、そんな食いつかれても困るんだけどさ……」 嘉穂が苦笑混じりに言う。「少し前に、インターネットで、そういう感じの都市伝説みたいなのを見つけたんだよね」 そう言って、嘉穂はベッドの上に置いてあったスマートフォンに手を伸ばした。 画面を指で何度か撫でた後、「あった」と言って、わたしにその画面を見せてくる。 そこには、『過去の自分にメールを送る方法』という文字が、浮かび上がっていた。 「……。何これ。ホントの話なのかな」 真剣な顔でそんな事を訊くわたしがよほどおかしかったのか、嘉穂は「なわけないでしょ」と、ふき出した。 「さっきも言ったけど、ただの都市伝説だって。 『学校のトイレで、何時何分に何番目の扉を何回叩くと、ナントカさんが出てくる』とか、そういう類いのやつ」 「でも、気になるよね。 ……ね、ちょっと見せてよ」 「……また、そうやってすぐ勉強サボろうとする……」 「いいじゃん、ちょっとだけ……」 わたしは嘉穂からスマートフォンを受け取って、画面をゆっくりとスクロールさせた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!