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――信じるものは、救われる。
こんな言葉、今まで1度も信じた事なんてなかったけれど。
でも、案外悪い言葉じゃないのかもしれないな、とわたしは思った。
『――夏美、どうしたの? 急に黙って』
「え?
……あ、ううん、なんでもないよ」
『とか言って、全然俺の話聞いてなかったりして』
「いやいや、そんな事ないって。
キイテル、キイテル」
『棒読みじゃん』
ふたりで、声を合わせて笑う。
――耳元から聴こえてくる、遼の声。
……生まれて初めて出来た、彼氏の声。
顔が、自然に綻んでしまう。
わたしはスマートフォンを持ち直して、ベッドの上に転がった。
ただ、なんとなく、落ち着かない。
膝のところにクッションがあったので、わたしはそれを抱えて、話の続きを始める。
――月日が流れるのは、とても早い。
あの日、嘉穂と一緒に『未来からのメール』を受信してから、もう半年が過ぎようとしていた。
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