桐島夏美 ―半年後―

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―――― ―― ――あの日。メールを受信したわたしは、どんな気持ちだったろうか。 そんな事を時折、ふと思い出したように考えてみるのだけれど。それを思い出す事は、出来なかった。 でも、それは、そうだろう。 未来の自分からメールが届くなんて、普通ありえないのだ。 とても、にわかに信じられるような話じゃない。頭の中が真っ白になるのは当然だ。 ――ただ。 わたしはあれから、その時届いたメールの内容を、本当に、何度も何度も読み返した。 だから、もう見なくたって、暗唱する事が出来るようになっていた。 その内容というのは、こんなだ。 ~~~ ――親愛なる、半年前の、わたしへ。 夏美さん、こんばんは。わたしは、半年後のわたしです。 自分自身に、しかも過去の自分にメールを送るなんて、なんだかとても不思議な感じです。 今、わたしは高校2年生になりました。大人への階段をまた1歩のぼったようで、なんだかわくわくします。 あいかわらず、勉強はあんまり出来ないし、まわりの人にはたくさん迷惑をかけているけれど、毎日一生懸命がんばっています。 ところで、詳しくは書かないけれど、最近、とてもいい事がありました。 今、わたしは、とてもしあわせです。 だから、これから、いろいろ、ちょっとつらい事とかあるけれど、くじけないで、がんばってください。 PS.テスト勉強ガンバレ!! 半年後の、わたしより ~~~
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