何もないぼく(54)からの期待

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 液晶画面にホコリがついたスマホに、メール着信のお知らせが光った。  ぼくはのそのそとメールを開くと、突然、デコメがド派手に瞬いた。  ☆゜+..+゜☆゜+..+゜☆゜+..+゜☆゜+..+゜☆   ぽんぽこぽーん(※SE)   このたび、あなたは時間軸メールのモニターに選ばれました。   モニターとして、未来のあなたとメールで会話ができます。   時間制限はありますが、心ゆくまで楽しんでください。  ☆゜+..+゜☆゜+..+゜☆゜+..+゜☆゜+..+゜☆  胡乱げにも程があるその文面を読み終えると、すぐさまメールが届いた。  送信元のアドレスは、ぼく。このスマホからだった。  メールアドレスは同じものはひとつとして無いから、ぼくがぼくに送ったことになる。だけどぼくはそんな覚えは無い。  今現在のぼくは。 『おい。十四歳の俺。届いてるか?』 『五十四歳の俺だ』 『無視するなよ』 『それとも、“十四歳のぼく”って言った方がいいか?』  次々と送られてくるメールに、ぼくは半信半疑になりながらも他にすることが無いので返信した。 「あなたがぼくだっていう証拠は?」 『疑り深いな。じゃあ、お前の部屋の本棚の一段目から、差してある本のタイトルを全部当ててやる』  驚くことに、全問正解だった。  ぼくは信じざるを得なかった。
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