2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
ふと気づくと、朝だった。
お日様が顔を出している。スズメが鳴いている。カラスが仲間を呼んでいる。町中が目覚め始める。
ぼくは窓を久しぶりに開けた。立てつけが悪くて嫌な音がしたけど、新鮮な空気を久しぶりに吸った。
五十四歳のぼくの言う通り、勇気を振り絞ってみようか。
一度だけ試してみよう。外の世界が怖いかどうか。
もし怖かったら、もう一度、逃げよう。
窓を閉める。部屋のドアは開ける。
ぼくは一年ぶりに、廊下に出た。
お父さんとお母さんに会ったら、まずは何て言おう。
そんなことを考えながら。
了
最初のコメントを投稿しよう!