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なんか、もう疲れた。
働いても働いても給料には反映されず、会社で神経をすり減らす毎日。最近はあまり眠れていない。ここから飛びおりたら楽になれるのだろうか。
ビルの屋上のフェンスに手をかけたとき、ポケットでスマホが震えた。無視することもできず、取りだしてみる。この期に及んで、仕事相手からかもしれないから出なきゃと思ってしまう自分に笑えてくる。
画面を確認する。
メール着信一件。
『件名:今はまだ死ぬな』
俺はその件名にぎょっとして、本文を読む。
『一年前の俺へ。
今、このメールを読んで驚いていることと思う。一年前の俺もそうだったからだ。けれど、これだけは言わせてくれ。
俺、来月結婚します。いえーい。』
なんかむかつくメールだな。特に文末。
写真も添付されていたので開いてみる。そこには、ひとりの女性と、今よりうんと幸せそうな俺がうつっていた。
そして俺は、写真の女性から目が離せなくなった。
きれいだ。すごく。
こんな綺麗な人とほんとうに結婚できるのか、俺。いや、できなくてもいい。せめて一目会いたい。そうだ、さがそう。俺はそのメールを保護した。
ゲンキンなもので、死ぬ気なんて、もうすっかり消え失せた。
そう、これからの俺は恋に生きるのだ!!
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