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…ふぅ。
うだるような暑さの中、テストの居残り補習に集中出来なくてペンを置く。
携帯を担任の鈴木に見つからないように開いて、セフレの加奈に今夜どうかとメールを打ってから、窓の外を眺めた。
「おい、宮島!お前が最後だぞ、集中しろ!」
鈴木が明らかにイライラしたようにそう言った。
「……」
その態度にイライラしたし、教室に最後の1人ってのがダメな奴みてぇで嫌だったから無言で席を立つ。
「おい、何処に行く!」
「補習明日もあるんだよな?明日また来るわ。」
「…わかった、約束だぞ。」
ふざけんな!!
と、いつもの鈴木なら怒鳴っていただろうが、俺1人の為に残るのが鈴木も嫌なのかアッサリと了承してくれた。
俺は鞄を手に、教室を後にする。
ピロリロリ!
その時、丁度携帯が鳴って確認すると、加奈からごめん!今日は無理!と一言だけメールが入っていた。
チッ…
まぁ、しょうがねぇか。
そう、割り切って廊下を歩いていると…
『おい、早く歩けよ』
『マジでやんの?ヤバくね?』
『大丈夫、被服室の前のトイレマジで誰も使わねーから。』
前から歩いてくる、小煩い集団とすれ違う。
『………』
その集団も、俺と目が合うと途端に静かになった。
……ん?
そして、その集団の最後尾に体育のハーフパンツとワイシャツだけの姿の、明らかに雰囲気の違う奴が引きずられるように引っ張られている。
確かあいつは同じクラスの…
そう、山崎だ。
確か、病気で生まれつき声が出せないとか何とか…。
細かく震えて、辛そうに下を向いていた。
病気で虐められるとはお気の毒な奴…まぁ、俺には関係ねーけど。
補習と加奈の件で不機嫌だったのもあり、そのまま余り気にも留めずに学校を後にした。
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