丸茂浩輔

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俺は何をやっているんだ…。 グイグイと山崎君を引く手が止まらない。 周りの生徒達が、目を丸くして見ている。 きっと、明日になったら噂になるだろうけど、別に今は構わない… むしろ、噂になったっていい…。 俺は山崎君の事が好きだ。 別に、男が好きってわけじゃない。 山崎君だけが特別。 悩んで、悩んで、諦めようともしたけど… 俺は自分の気持ちに嘘を付けなかった。 山崎君を見る度に、どんどん惹かれて行く。 気が付けば目で追っている… 理屈じゃなく、自分じゃどうにもする事が出来ないくらいに気持だけが膨れ上がっていく。 ポンポン 校門を出た所で、山崎君が俺の腕を叩いた。 振り向くと目に涙を溜めて、痛いよ、と口を動かして伝えてくる。 「あぁっ!ゴメン…」 罪悪感を感じながらも、そんな表情にさえ俺の欲情は煽られる。 「…ゴメン。」 もう一度謝ると、自分がした事を思い出して顔がカァっと熱くなる。 あぁ、本当に何をやってるんだ俺は…。 山崎君は、首を横にフルフルと振ると… いいよ、大丈夫? と書いた手帳を見せてきて、笑顔を見せてくれた。 あぁ…本当に好きだなぁ… 笑った時に出来るえくぼとか、綺麗な薄茶色の瞳とか。 どこまでも純粋で健気な所も…。 「うん、大丈夫だよ、ありがとう。」 そう返せば… ならよかった。 悩み事とかあったら言ってね、 僕でよかったら聞くよ? ホッとしたあと、手帳にそう書いて 心配そうな表情で俺に向ける。 悩み事…。 君の事が好きで好きでたまらない。 今日、宮島と一緒にいる君を見たら我慢が効きませんでした。 そういったら、どんな反応するんだろうか…。 「ありがとう、本当に大丈夫だから。だから…帰ろう?」 そう言うと、まだ心配そうにうなづいて俺の手を取り歩き出す。 ……え?? 俺は、信じられなくて繋がれた右手を見る。 そこには、やっぱりキュッと掴む山崎君の左手…。 ん…な… 突然の事過ぎて、頭が追いつかない。 だけど、確かに繋がれている手に自然と顔に熱が集まる。 「~っ!」 それを、周りにバレない様に片手で覆って隠した。
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