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 全体的に小づくりだが、パーツのひとつひとつが整っている。  とくに眼鏡の奥にあるくるんとした瞳はとても印象的だ。大きな黒目は少し緑がかっていて、光の加減で緑色のビー玉のようにも見える。 (お、まつげ長っ)  この機会にもっとよく見ておこうと、昭久は深浦へ顔を近づけた。 「あ、あの……新田くん、な、なに?」  もっとよく見てみようと、鼻先がくっつきそうなくらいに昭久が距離を詰めると、深浦は慌てて昭久から顔を離し、そのまま俯いてしまった。 「――――――かわいい」  なんだこの小動物は。  おそらく朝起きたときのままなのだろう、相変わらずの寝癖頭は鳥の巣状態で、小鳥のヒナがひょっこり顔を出してきそうだ。  そしてその髪の隙間から、ちらりと覗く耳の端っこがほんのり赤く染まっているのが見えた。耳だけではなく顔も同じように真っ赤になっているに違いない。 「へ?」  ポロリと溢れた昭久の台詞に深浦が目を瞠る。 「深浦、かわいい」 「え、えっ? あの、に、新田くん!?」 「深浦さあ、結構かわいい顔してるんだから、それ外してコンタクトとかにしてみたら?」  昭久の手が深浦の眼鏡のフレームに伸びる。  寝癖満載の髪型を今すぐ直すのはちょっと難しいが、眼鏡を外して顔を出すくらいならすぐにできる。  それに真っ赤になった深浦の顔をもっとよく見てみたい。  昭久は女の子が大好きだ。そして深浦は昭久と同じ男だ。  だが、今この時、昭久の頭の中では深浦が自分と同じ男だということはどうでもよくて、ただ「かわいい」としか言い表せない目の前の小動物の顔が見たい、それだけしかなかった。 「新田くん! い、やだ。やっ、やめてっ!」  眼鏡のフレームに伸ばされた手をいやいやと頭を振って避けながら、深浦は昭久から距離をとり、横山の背中に隠れた。
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