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「昭久、深浦くんが嫌がっているじゃないか。それに 今は大事なミーティング中だぞ。どうせ口説くなら深浦くんじゃなくて、かわいらしい女の子にしたらどうだ? その方が俺にとっても深浦くんにとっても今後、女の子とお近づきになるための参考になる」
「はい?」
「せっかくアドバイザーとしての役目を担っているんだから、たまには俺たちの前で実践してみてくれてもいいと思うけど。な? 深浦くんもそう思うだろ?」
「あ、う、うん」
後ろを振り向き、同意を求める横山に深浦が煮え切らない返事を返す。
「実践……? って、何の?」
「女の子に声をかけて、仲良くなって、付き合うまでのプロセス」
横山が大真面目な顔で言った。
「横山……お前、バカだろ。それにアドバイザーってなんだよそれ、今初めて聞いたんだけど」
「そうだろう、今初めて言ったからな」
彼女をつくる云々よりも、横山はまず世間からちょっとズレている物の考え方を何とかした方がいいような気がする。
あと、かわいい女の子を見かけるとじっと観察するところとか。
「昭久は俺が知っているだけでも、彼女と呼べる付き合いをしていた女の子の数は両手で足りない。下手したら足の指を足しても足りないかもしれない」
「だから、なんだよ」
「俺は不思議でならないんだ。どうして昭久ばかりがモテるんだ? その辺のところをアドバイザーとしてだな、俺たちに教えて欲しいんだよ。な、深浦くん? 君も女の子と付き合ったこと、ないだろ?」
「女の子と……うん。ない」
彼女いない歴イコール年齢な仲間を得た横山が、得意げな顔を昭久の方へ向けた。
(だから、どうしてそこでドヤ顔なんだよ)
ここはとりあえずアドバイスらしきものでもしておかないと、場が収まりそうにない。
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