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事例を聞かせるように話し始める森崎。
「またある人は、自分のギャンブルの資金を得るために恋人の名前を売りました。その人は、自分が好きなら、ネームトレードされても、喜んで受け入れるべきだと言い、恋人をお金に変えました」
その声はあまりにも淡々としすぎていて、怖くなるほど。
「これは、別の支部で起こった現実の話ですが。あなたのようなケースは決して珍しくはありません。そう言う状態で奪われるのですから、あまりお金を持っていないケースもある。だから、あなたのケースでも、満足のいくようなプランを提供できると思っています」
「そう言う問題じゃなくてっ」
女はそれを言うのも精一杯で。
森崎に、あまり感情がないように見えて、怖くなったのだ。
一瞬、感情を見たような気がしただけに、ビジネスの話を割り切って話す森崎が異常に見える。
「では、どういう問題ですか?」
その声は、やはり淡々としていて、冷たい。
「何で、そんな問題がある名前を買うのよ!?」
そう、虚勢を張ることしかできなかった。
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