ヒトは嘘だらけ

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その夜、俺は制服のまま公園のベンチで空を眺めていた。 〔うわ。何やってるのかしら。怖いわ〕 〔こんな時間に。不良気取りかよ〕 俺の姿を見た通行人たちはみんな文句を言っていく。 ただ、星を見てるだけなのに……。 まあ、実際には俺が聞いてるだけで声に出してるわけじゃないけど。 今日はなんかショックが大きかったな。 〔ああ、どうしよう。ままはどこ?〕 ん? なんの声だ? 茂みの方から聞こえてくる。 覗いてみると、そこでは子猫がよたよた歩いていた。 俺は子猫を拾い上げ、一応問いかけてみた。 「お母さんはどんな猫なんだ?」 〔これはなに? ぼくは浮いてるの?〕 やっぱ人間の言葉はわからないか。 どうしよう……。 あ! そういえば、ひめこはよく外に散歩行くからもしかしたらこいつの母親を知ってるかもしれない。 よし、帰るか。
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