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青年が頭を振ったので、涙と泥が床に落ちた。 B「や、やっぱり…、さいごに紗恵さんに会いた…」 青年がそう叫ぶと、突然、彼の姿はなくなった。 まるで何もなかったかのような静寂の教室で、 私の鼓動だけが、烈しく、そして悲しく鳴っている。 私は、渡された手紙に目をやる。 達筆過ぎるその字は、私には全く読めそうにない。 A「いい世界になった…。かぁ…」 青年の言葉を思い出した私は、大きく息を吸い 重たかった鞄を拾う――。
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