リスタート

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友人との誘いは極力断って、全ての時間を勉学に注ぎ込んだ。 同じ失敗は二度と起こさない。 苦手な科目は徹底的に克服する。 それで満遍なく参考書を読み漁ってどんな問題がきても大丈夫なように対策をきちんと練っておくんだ。 以前は得意な教科ばかりに重点を置きすぎていたからダメだった。 試験問題を作る人は満点を取らせないようにとあの手この手で出題パターンを変えてくる。 故に、私の得意科目で超難解な問題が出されることも有り得るのだ。 そうなった時に、不得意科目でも正当率が60パーセントを切るような問題を確実に狙っていけば全体の平均点は上がる。 高校は勉強環境が抜群に整っているところにしよう。 出来れば全寮制がいいな。 親がいるから自分を甘やかして堕落した生活を送ってしまう。 心の拠り所を断ち切って、完全に逃げ場を断ち切ってしまう。 そうすることで私はもっともっと上を目指せると思うから。 そして私は毎日毎日寝る間も惜しんで狂ったように勉強を頑張った結果、偏差値70超えの超名門校へ合格することが出来た。 勿論希望通り全寮制。 私はこの高校に入っても気を抜かないで勉強に力を入れるつもりでいた。 その甲斐あって私の成績は常に学年で十位以内をキープし続けた。 流石に進学校なだけあって、上には上がいる。 だけどもこの現状に私は大いに満足をしていたのだった。 そんな順風満帆な日々を送っていた私の元に予期せぬ転機が訪れた。 「ごめんね、急に呼び止めて」 学年一の秀才に話し掛けられた。 「大事な話があるから放課後残って欲しい」と自習室に向かう途中のこと。 目尻を下げて申し訳なさそうに謝る姿がなんだか哀愁を帯びており、ちょっとだけ見とれてしまう。 とは言え、こうしている間にも他の難関大学を目指す受験生達と差が開いてしまうと思ったら気が気でいられない。 「なに?」 「うん、あのさ……」 「私急いでるんだけど」 あんたと違ってこっちは努力しないといい点数が取れないんだよ。 そんな思いが態度に表れたのかついキツい口調となった。 しかし早急にこの場から立ち去りたいのも事実。 私は眉間に皺を寄せながら目の前のイケメンが次の言葉を発するのを待った。
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