第1章

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帰りにコンビニに寄ってバイクを停めてメットを取ろうとした時、あの切ないこじらせカップルが前を通った。 「まゆ」 (手、繋いだらビックリするかな…引くかな…) 「りっくん、何?」 (りっくん、手も繋いでくれない…好きって言ってくれたのに…。) おお!鈍感野郎!がんばったな! 繋げ!今すぐ繋げ!早く手を繋げ!いいから今すぐ手を繋げ! 鈍感野郎が手をすっと出して彼女の手を握った。顔、真っ赤。 よし!よくやった! 「まゆ」 (ヤバい…ドキドキが止まらないよ) 「りっくん」 (嬉しい…ドキドキする) 彼女が繋いだ手をキュッって握り返してふたりで顔を見合わせて照れてる。 うっは~。良かったな。切ないこじらせカップル卒業か。ピュアな恋物語を見ちゃったよ。 たまには、ほんわか幸せな気分のお裾分けを貰ってもいいでしょ。 買い物をして家に帰った。 遠くから聞こえる…この感じ。嫌な予感。 (カツ丼…食べたい…。カツ丼、食べたい… カツ丼…カツ丼…カツ丼…) お姉さん!また、あなたですか!嫌な予感的中。 はぁ~。 いいよ。行くよ、お姉さん。 (ありがとう。優しい子。) 俺の毎日…きっと変わらず、こんなだ。 これからも俺の修行は続く。精神を鍛えるんだ! 俺に出来る限りの事をしよう。 まだまだ未熟者だけど。 完。
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