第1章

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こんな日常を送りながら、実は俺には秘密があるんだ。 今日みたいに天気のいい日はバイクを飛ばして埠頭まで行く。 防波堤に腰掛けて、意識を深海に集中させるんだ。 深海に俺の友達がいる。 デメニギス…頭が透明のちょっと変わった奴。 深海の海中をただ彷徨うだけ。 デメニギスは優しい。 デメニギスは俺を癒してくれる。 (タケル…来たんか~) たぶん、デメニギスはおっさんだと思う。何十年も深海にいるんだから。だけど、歳とか人間とか魚とか関係なく俺達は友達だ。 デメニギスの意識にリンクして暫く深海を漂う。デメニギスは自分の意思で泳がない。流されるまま。そんな時間が俺を元気にしてくれる。 (タケル、疲れとるんか~) (うん。でも、お前に会えたから。) (お前って…なんやねん。わしはお前の恋人か?) (うっは~うっぜぇ♪あははは) (ご機嫌やな~タケル) (まあな。で、何してたの?) (ん?わしか?漂ってたでぇ~毎日な。) デメニギスに半分なった気分で時間を過ごす。 じゃあまたなって、デメニギスと別れてバイクを飛ばした。
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