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俺は唇を重ねたまま愕然とした。そんな話、聞いてない!いや誰も俺にそんなこと言わなきゃならない義理もないだろうけど。あの野郎、あんな素知らぬふりしていつの間に…。鰹節に見向きもしない猫みたいな顔しやがって!
俺の方が先だと思ってた…。
「…確かに意外」
チサトの唖然とした声がする。
「あの二人、意外とすることしてたんだ。…まぁそうかあ、タツルさんだってちゃんといろいろ経験のある大人の男だもんねぇ。そんなにあたしが気を揉まなくても大丈夫だったんだ」
何感心してんだ。てか、お前なんか余計な協力とかしたな。
「お前なんであいつの味方なんだよ」
「だってアキの気持ち優先じゃん」
ヤツは言ってはならないことを平然と言ってのけた。俺のHPは一気に激減した。
「それに、タツルさんならきっと無理強いしないわよ。そんな、相手が油断してる隙を見て押し倒すような。…もしかして」
チサトはふと、底冷えのするような視線を俺の顔に向けた。
「今の流れでそのまま押し倒しちゃった…、とか」
俺は肩を小さく縮めた。
「…そうです」
弁解の余地もない。俺は既に先を越されていたことに動揺していた。しかもアキのその内心の声!それだと、俺がタツルに上書きしちゃいけないみたいに聞こえるけど。
タツルよりもっと深いところへ行きたい。今しかチャンスはない。その思いが俺に理性を失わせた。俺は彼女の唇を離さないまま、なしくずしにその場に身体を押し倒し、上にのしかかった。アキの頭の中が真っ白になり、パニックに陥っているのがわかる。何だか可哀想な気もしたが、体勢を立て直す時間を与えたくない気持ちがそれ以上に強かった。
俺は構わず突き進んだ。
アキの抵抗を封じるように身体を抑えつけ、重ね着したTシャツとキャミソールの下に手を入れて素肌に這わせた。滑らかなその感触を味わいつつ、背中側に無理やり手を差し入れてブラジャーのホックを外す。
「そんなもの外すな、変態」
チサトがわあわあ騒ぐ声が何処かから聞こえてくるが、もうどうでもいい。そんなこと気にしてられない。
アキの抵抗が激しくなった。俺が直に胸を手で覆って愛撫を始めたからだ。…ああ、あの感触。手のひらに残る。今思い出しても…。
「ジュンタさん、本当こんなこと止めよう」
俺の唇から何とか逃れたアキが必死に囁く。
「絶対、しない方がいいって。今まで通りでいられなくなっちゃうよ」
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