ジュンタくんのちょっとクズな話

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「それで俺に異常に絡んで来ようとするんだよ、生命知らずにも。まともに相手したくないから顔を合わせないようにはしてるけどさ。でも、何で俺が向こうを避けなきゃいけないんだよ?って思うとつくづく面倒になっちゃってさ。お前、あの子その気にさせたんだろ。責任とって、何とかしてこいよ」 「何とかって、何想定してんだよ」 なんか下衆なことじゃないだろうな。第一、そんな女身に覚えがない。この数ヶ月、女の子のことなんか正直考えたこともないのに。 アキのこと以外は。 俺はふと思い当たって、チサトに尋ねる。 「それって、茶髪ロングのゆるふわ?ちょっとおとなし目のファッションの」 「そうそう、だから似非お嬢の」 すごい悪意あるじゃん。 「ああ…、あれ、確かに最近よく一階で待ち伏せてるなぁ。俺、なんかあの子と話したっけ?」 俺は首を捻った。正直全然、記憶もないんだよね。ここ最近、自動運転だったからなぁ…。 ちょっとは無意識に愛想のいいこと言っちゃったのかもしれない。なんたって上の空だから。 「実際、それが億劫でなるべく一階の展示室、最近回避してるんだよね。そうか、やたら話しかけてくる子がいて面倒くさいなぁと思ってたんだ…」 それもあって、今もアキのスペースに行くところだったのだが。あそこならその手の子たちに見つからないから。 本当は一階の二十世紀美術部屋に時々顔を出したいんだけど。待ち伏せがいるのでそれも叶わず、早くほとぼりが冷めないかなぁと思っていたところだった。 チサトは呆れたように肩を窄め、腕を胸の前で組んだ。 「お前やっぱクズだな。あそこまでのぼせ上がってるってことは絶対何かその気にさせるようなことしてるって。面倒だからちょっと付き合ってやれよ。外見は一般的に言うとそこそこのレベルだよ。内面はともかく」 「嫌だよそんなの」 やっぱりなんか下衆なこと言ってる。 「いやいや、遊びでいいわけじゃん。どうせそんなに長いことここにいるわけじゃないだろうしさ。こっちから意識を逸らしてさえくれればいいんだよ。お前だって役得だろ」 「本当にお前、見かけによらず下世話なヤツだな」 俺は心底呆れて思わず言った。 「俺はそういうのないな。好きでもない女の子と遊ぶなんて、面倒くさいよ。お前はそういうの平気なんだ」 「いや、俺もしない」 チサトは素っ気なく肩を竦めた。そうなのかよ!
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