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ギリギリとすごい本気の力だ。マジ苦しい(ように感じる)。
「ちょっと待てチサト、話をちゃんと」
聞いたらどうなんだろ。これって聞いて心が安らぐ話かな。もしかしなくても更に怒りに油を注ぐ?しない方がマシかも…。
「いやそこまでしたんなら最後まで話せって。どんな経過でそうなったのさ。そりゃあの子はあんたに対して警戒心がなさ過ぎで、俺もタツルさんも口を酸っぱくして注意してたけど、まさかそんなことするとまでは思ってないからさ。アキだってきっとそんなつもりじゃなかったろ。お前、無理やりしたの?犯罪だよそれ」
そう言われると言葉もないが。
「無理やり…、なのかな。どうなんだろう…」
「それはそうだろ。だってあんなにタツルさんのこと好きな子、お前と喜んでそんなことするわけないだろ」
「ぐ」
ここでタツルの名前出さないで欲しい。現実を突きつけられて萎える。
「一体、どんな風にしてそんな事態に持ち込んだのさ。あの子が警戒してなかったから襲ったの?何て卑怯なんだ」
「まぁ…、始まりは当たらずとも遠からずか、と」
「…アキ…。可哀想に」
チサトはがっくりとうなだれた。
「そんなことになるんだったら、もっと脅かしておけばよかった。こいつは見境いない性犯罪者で欲求不満で、若い女の子と見れば二人きりになると手当たり次第に押し倒し」
「ちょっと待て事実誤認があるって」
「性犯罪者じゃないって言いたいの?逮捕歴がないからって、やってることは犯罪者と一緒じゃない」
いやいや…、あと、何で急に女になった?女性の味方?
「言っとくけど、俺、手当たり次第じゃないからな。霊になってから女の子とこういうことになったのもアキが初めてだし」
「あっ、…そうなの?」
すごい意外、って顔をするな。
「高級霊なんか自由度が高いから余所ではやりまくってるのかと思った。そうか、途中までしか経験がなくて、それがアキなんだもんね。でも、女の子には実際ベタベタ気軽に触りまくるじゃない」
「いやだからそこ…、よく考えてみろって」
俺は思わず必死に言い募った。
「アキにベタベタ触りまくったのは認める。でも、俺、他の女の子なんて触ったことないからな。話しかけられれば普通に話すし愛想よく応対もするけど、断じて触ったりしてない。お前、俺がそんなことしてる実際のシーン、ひとつでも具体的に思い出せるのかよ?」
そう言われてはたと考えを巡らすチサト。
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