序章 時は金なり

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序章 時は金なり

4月15日午後11:10 しんと静まり返った街の中を一人の手にコンビニの袋を下げた男子高校生が歩いている。男の名前は天海翔(あまかいかける)。どこにでもいるただの高校生だ。最近髪型をショートモヒカンにした。気に入っている。今は日課の夜の散歩もとい深夜徘徊中だ。 「うーん、やっぱプリンすればよかったかなー?」 天海は優柔不断である。先ほど寄ったコンビニではエクレアを買うかプリンを買うかでたっぷり20分は迷っていた。にもかかわらず 「やっぱエクレアな気分だなー。えっと、買ったのは大体10分前くらいだったっけ?よし!」 天海はそう呟くと胸に手を当て唱える。 「対象は世界、戻す時間は10分、時間よ戻れ、リバース??」 唱えた瞬間天海を中心に世界が白い光に包まれた。次に天海が目を開けるとコンビニの中にいた。腕時計を確認する。時計の針は午後11:00を指していた。 「使っておいてなんだけどすごいよな、この力。完全に時間が戻ってる。」 天海は心の中でそう呟く。天海がこの力に目覚めたのは1週間前のことだ。 4月8日午後10:30 日課である散歩の途中でコンビニ立ち寄った。めざすところはスイーツコーナーである。 「今日は何にするかなー♪」 甘党である天海にとってこのコーナーは桃源郷のようなものである。ウキウキしながらスイーツを選ぶ天海の後ろから一人の女性が近づく。 「翔なにしてんの?」 そういうのは天海の通う高校の同級生であり幼馴染である、佐藤結衣(さとうゆい)だ。服装はスポーティな感じで髪もポニーテールに結んである。 「んー、結衣か。珍しいなこんな時間に。」 「ちょっとねクラスの子と遊んでたらこんな時間に。かけるは相変わらず甘いもの好きだね~。」 「ほっとけ。こんな時間に帰ったら親父さんに怒られるんじゃないか?」 「大丈夫!ちゃんと連絡入れてあるから。」 「そうか、俺もこれ買ったらすぐ帰るし一緒に帰らないか?夜だし1人はまずいだろ?」 佐藤の家は天海の帰り道の途中にある。佐藤とは幼稚園から高校まで同じということもあり付き合いも長い。 「ほんとに??ありがと~。」 佐藤は両手の合わせて上目遣いで礼を言ってくる。天海は不覚にもドキドキしてしまった。 「じゃ、じゃあこれ買ってくるから。ちょっと待ってろ。」
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