第1章

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俺にとって、時間は何よりむかつく存在だ。 時間と言うより因果関係だろうか。 そんなことを考えながら、俺は学校の屋上から下を見下ろす。 自殺する気はない。 ただ、殺されたいとは思う。 自分で死ぬなんてカッコ悪い。周りからはメンタルが弱かったと見られてしまう。 俺は一歩下がった。 すると、段差から落ちて屋上の地面に手をつく。 かなり痛くて手をついたまま暫く止まっていた。 立ち上がると、今度は今の段差に足を引っ掛けて転んで、頭から…… くそ、俺は生きてる。 病院かな? 俺はそう思って辺りを見回した。 自分の部屋。 手を見ると、傷がない。 夢のはずがない。 ベッドから降りてリビングへ行った。 外はちょっと暗く、壁にかかっている時計を見ると今は午前5時だった。 午前9時。 学校の授業が始まり、俺は寝ていた。 隣の女子が俺を5回ほど起こしたが、俺は5回寝た。 夢なんて覚えていない。 ただ眠かった。 チャイムで起きた。 号令が終わり、クラスメートの男子が俺の背中に乗る。 「おはよう」 男子が言う。 「おやすみ」 俺が言った。 「じゃあおやすみ」 「何だよ?」 「何となく」 「じゃあ引っ込め」 俺が言うと、男子は苦笑いしながら去った。 二時間目まで後5分。 俺は気がつくと歩き出して屋上まで行っていた。 さっきも同じことをしたような…… 俺は屋上の端を見つめると、教室に戻った。
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