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(天使を操る力が欲しい!)
「悪魔の手をお貸ししてもいいわ」
天使の声が聞こえた。
(成功だ、願いが叶ったぞ!)私は歓喜した。
「時間を巻き戻す力、人の心が読める力、残り二つの願いも叶えてあげますわ」
天使が前と違う文句を口にした。
私は天使を操り、残りの願いも叶えられるようにしたのである。
(正直、人の心が読める力はいらないが、これもついでに取っておこう)
貧乏性の私は『万神の手』に触って、残り二つの願い事を叶えるために祈った。
目の前の風景が変わった。ファミレスの店内から、車が行き交う交差点に私は出た。
(私が願ったあの瞬間に、時間を巻き戻したぞ)
二つ目の願いが叶った私は、目の前に迫るトラックの運転手を操り、それに轢かれるはずだった彼女を救った。
「良かった。君を救うことができた」
天使に遭う前の私は、トラックに轢かれそうになる私を押して、代わりに死んだ彼女を想って泣いていた。彼女が生き返るなら何でもすると。
その願い事が叶い、いま彼女は生きている。
「神様、ありがとう」
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