悪魔の手を持つ天使に願い事を

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 私は感謝して、彼女の眼を見た。それは天使と同じ、ガラス玉の眼だった。 (彼を押してトラックに轢き殺させるはずだったのに。今度こそは──)  私は三つ目の願いが叶ったのを知った。それは私を道路に突き飛ばした、彼女の心を読んだ声だった。  ──バスに轢かれて瀕死の私は、薄れる意識のなかで天使と彼女の会話を聞いた。 「これで彼に掛けた多額の保険金が入るから、それで報酬を払うわ」 「ご契約完了ですね。またのご贔屓をと言いたいのですが、人を殺したあなたはもう天国には行けません。 従って、天国では再びお取引が叶いませんが、ご安心ください」 「あら、何かしら?」 「天使はアフターサービスも万全ですわ。わたくし時間外に、地獄にも出張サービスをしておりますの。 どうぞご用命の際は、いつでもお呼びください」  そう言って、天使がニッコリと笑った。それが私が見た、この世で最期の光景だった。
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