第1章

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「修平、幸助。見て!」 「鳥居……?」 「なんだか神社の跡地みたいだね……」  建物は崩れ、腐った板には虫がたかっている。  住みついているような雰囲気のカラスが少し怖い。 「違うよそっちじゃなくて、こっち!」  梨花の声につられ、ふたり揃って神社だったであろう場所から目を背ける。  元気に指さすそこには古井戸。こちらはしっかりと原形を留めているが、先に桶がついていそうな垂れ下がったロープは、千切れかけているように見える。  彼女は意気揚々とそこへ歩み寄る。
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