第1章

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「餌探しにきて、落っこちちまったのかな。可哀想に」 「待って修平。あれ首輪じゃない?」 「飼い猫? やっぱり猫だよな、尻尾とポーズ的に」 「桶に体半分突っこんでいるし、引き上げられないかな。埋めてあげたい」 「でもこれ大丈夫かな……。おっ、いけそうじゃん」  既に助けられる命ではないことを逆手に取り、乱雑な行為ではあったが、腐臭漂うそれを古井戸の底から引き上げることに成功した。 「梨花、悪いけどそのミニバケツで穴を……」 「どうしたの? ――って、そうだよね。好きな動物のこんな姿は」 「にか」 「見たくは――、梨花?」
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