第1章

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 幼馴染三人で揃って通う中学は、山のほうにある。行きは上り坂、帰りは下り坂。そんな道とは真逆のテンションで、今日も下校中だ。  それもついに今年までで、来年にはバラバラの進学を予定している。梨花なんて全寮制の女学院に問答無用で突っこまれるというのだから、男子と――、俺たちとこうしたやりとりができるのは今だけになる。  この春に進路を確定させてから、いつも俺たちに着いて回るだけだった梨花は、なにかと提案をするようになった。  それはきっと、彼女が卒業するまでに俺たちとやっておきたいことなのだと、ふたりで察したのが切っ掛けで、立場は逆転。俺たちは振り回され、尻に敷かれる側となることを選んだ。  なんだかんだいっても紅一点。山ザル系女子ではないからこそ、優しく接してやりたかった。
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