第1章

4/31
前へ
/31ページ
次へ
 三人揃って、小さな個人商店のアイス売場を覗きこむ。  けれど、選ぶ余地がさほどないそこで、「見ているだけで涼しいね」なんて言いながら、目を輝かせている梨花の視線ばかりを、俺と幸助は追っていた。  ガラスに映る彼女の目は、右へ左へと泳ぎ続け、ふとしたとき、ある一点に留まる。  別に、恋心がどうとかそういうものは決して存在しない。ただひたすら、彼女が今なにを食べたいかを探る、というひとつのゲーム感覚だ。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加