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「えーと、一人は乗せたことない。誰か待てたら相乗りできるけど…なあ、おっちゃん、一人でも構へんのか」
春江が世話役に声をかけると、小柄な老人は首をかしげながらのんびりと応えた。
「構へんけどな…一人でチャーターしたら高くつくがな。一万超えるで。にいさん、それでもええんかな」
「いいですよ。払います…水に濡れてこんなになってる札しかないけど」
すっかり水に浸かって凸凹になった一万円札を明生が春江に恐る恐る見せてみる。
「ええんちゃうの。札は札やし使えるやろ。…自販機には通らんかもしれんけどな」
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