(一)

4/56
前へ
/158ページ
次へ
 美しい顔立ち。  少し華奢だが手足が長く整った後ろ姿。  もしかしてあの男なのかと思ったが、違ったようだ。  しかし、あやかし…とは何のことを言っていたのか?  明生は船頭の走り去った方向を見つめて息をついた。  約束の時間…午後六時半までまだ三十分近くある。他の船頭たちも次々に帰っていき、誰もいなくなった船着場の石段に腰掛けて待つことにした。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

266人が本棚に入れています
本棚に追加