だから

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─────── ─── 「じゃあ、そろそろ行くね」 僕は玄関で靴を履いて母さんの方を振り返った。 「行ってらっしゃい」 母さんは笑顔で見送ってくれる。 だけど本音は優しくなんかなかった。 【やだわ、この子包帯だらけじゃない…先生に何か聞かれたらどうしましょ】 「ねぇ…」 「わかってる、階段から落ちたって誤魔化すから」 「……そうね」 僕が言うと母さんはホッとした顔になった。 母さんも、みんなも自分の保身が一番大事なんだ。 それは僕も同じ。
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