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夕暮れ時。
空には雲1つ無く、沈みかけの太陽が視界の全てを橙色に染めている。
学校帰りと思われる中学生3人が戯れながらカラカラに乾いたコンクリートの道を歩いていた。
周りの家は低いコンクリートの塀で囲われている。
交通安全の立てかけ看板のある曲がり角を左に曲がったところで、3人のうち丸眼鏡をかけた少年が何かに気付いた。
「ねえ、あれ見て。」
「どうした?マル。」
マルが指差した方向を皆で揃って向いた。
そこには段ボールに入った小さな黒猫がこちらの様子を伺っていた。
「うわー、かわいい!」
太めの少年が黒猫に駆け寄り、しゃがみこむ。
他の2人も後に続きしゃがんで黒猫を覗き込んだ。
「捨て猫だな。可哀想に。いつからここにいたんだろう?」
もう1人の活発そうな少年が疑念を抱く。
黒猫の下には毛布が入っており暖をとれるようにはなっていた。
身体は小さく、汚れが目立っている。
黒猫は鳴くことなくこちらを警戒しているようだ。
「人間に怯えてるのかな?誰か飼ってあげようよ!」
太めの少年が提案したが皆渋い顔をしている。
「僕のうちはお母さんが動物嫌いだから・・・。たっちゃんちは?」
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