最期の選択

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 世間的には、地獄に堕ちても仕方がないと思われているじいちゃん。  親に先立っているあげく、死因が自殺の幼馴染。  本来なら二人共、同じ側にいそうなものなのに、立っている位置は真反対。  どっちかは天獄でとっちかが地獄。そう考えられてならないんだよな。  俺も、不可抗力とはいえ、親より先に死んだ訳だから、問答無用で地獄行きってことならまだ諦めもつくけれど、この場合、片方には希望がある気がするからなぁ。  生き方が非道でも、孫の俺を呼ぶかなぁ? でも、地獄に堕ちても仕方がないって言われる生き方だったんだよな。  親身になり切れなかった俺を恨んでいても、そもそもあの優しい奴が、地獄に堕ちたりするのかなぁ? けど、自殺はホント、よくないことだし。  おいでおいでと、声の代わりに手が招く。それを何度も見比べて、俺は暗いトンネルの中央に立ち尽くすのだ。 最期の選択…完
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