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実はこのコースは伸二と啓介が共に3年間走ってきたコースだった。
イタリア行きが決まっていた啓介は、
高校サッカー引退後も欠さずランニングを続けていたため、
同じコースをいつもの時間に走れば会うのは必然だったのだ。
「ボルトムントのセレクションを受けることしたんだって?」
鬼軍曹から聞いていたのか、
啓介はセレクションの話を知っていた。
「調子はどうなんだ?」
啓介の方はどうやらわだかまりもなく、
どちらかというと伸二を心配している様子だった。
そんな啓介の気持ちをなんとなく感じながらも、
伸二は引っ込みがつかず何も答えられなかった。
本当は伸二も、
再びサッカーに打ち込むようになってから、
謝りたい気持ちになっていた。
そんな気持ちが伸二にランニングのコースを変えさせたのかもしれなかった。
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