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「おー伸二、
ちゃんと残っていたな」
放課後一人で教室に残っていた伸二は、
鬼軍曹の意外な優しい口調に驚いた。
「授業中に眠ってしまってすみません」
優しい口調に気味悪さを覚えながらも、
鬼軍曹の怖さを良く知る伸二は、この後の展開を少しでも楽にしようと先手を打った。
しかし鬼軍曹の言葉は、
伸二の思惑とは全く違っていた。
「伸二、
残ってもらったのはなー、
そのことじゃないんだ」
「え?じゃ、
ほかに何かやらかしましたか?」
鬼軍曹は、
今度はある意味で予想していた言葉を口にした。
「啓介が春からイタリアに行くことになったぞ」
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