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私にラスターを切れるはずがない。
タラン・タランは躊躇う。ここで彼を切らなければ、生かしておけば、この国の民たちは黙ってはいない。切らなければならない。泣いてでも切らなければ。
タラン・タランはゆっくりと剣を振り上げる。剣がラスターの体に触れようとする瞬間、硬い金属が彼らの間に割って入る。その金属は、一角獣の頭部を模したヘルムを被った鎧一式である。タラン・タランは突如として空間中に出現した一角獣の鎧に違和感を覚えた。
そもそも、一角獣の鎧は王からロイヤル・ガードの隊長を務める高名な騎士に贈られた美術品扱いの品である。とはいえ、鎧の出来は秀逸ある。一角獣の頭部を模したヘルムを除けば、十分実戦に耐えうるものであった。
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