第2話 羊か?山羊か?

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 私は、悪者共にとうとう追い詰められてしまった。  いや、すみません。  悪者は私の方でございました。  正義の味方共に追い詰められた私は、  今崖っぷちに立たされている。  ジリッツ、ジリッツ、  深い谷を背にして、身動きの取れない私に  少しずつ、少しずつ、  そして、容赦なく    その時が近づいてくる。  ああ、何という波乱万丈!  ああ、何という一大スペクタクル!  今までどれほどの困難を乗り越えてきただろう?    数え切れないほどの苦難を乗り越えて  ここまできたというのに・・・。  グラッ、  その時、足元の岩が崩れ、  バランスを崩した私は、  崩れた岩とともに谷底へ・・・  ごんっ!    私は谷底ではなくて、ベッドの下に落ちて  頭を打った。  不思議??  何でこんなにタイミング良く  夢と現実がリンクするのだろう?  長年私は疑問に思い続けていたが、  つい先日、テレビでその答を知った。  答を知ったが、納得はしていないのだけれど。  「人間の脳は、ベッドから落ちるその一瞬で、   夢に辻褄を合わせてしまうことができるのです。」  「ホンマかいな?」  この、ハリーポッターにも負けない  一大冒険ファンタジーを一瞬で仕上げてしまう様な  天才なら、  「こんな苦労してねーわっ!!」  ただ、一瞬で仕上げた物語を、  一瞬で忘れ去ってしまう私は、  やはり、苦労人に相応しい・・・。  
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