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「ん、れ、い?」
理佐が薄目を開けた。
「ほら、こんなところで寝ると風邪ひく」
「んー」
「ベッドへ連れて行ってやろうか?」
言いながら理佐の脇と膝の下に手を入れて抱き上げようとする怜に、「ん? あ、いい、重いよ、自分で歩ける、歩ける!」 と理佐が慌てて上体を起こした。
「ごめん寝落ちしたー」
「疲れたろ?」
「うーん、でも疲れてるのは怜のほうなのに」
「俺はまだいけるよ?」
耳もとでそう囁く怜に、「え、な、なにがっ!? 」 と理佐がのけぞった。
笑いながら怜は 「まあでも、今日はもう休むか? また明日以降のお楽しみにってことで」 と言ってベッドルームに着くと部屋の電気を消した。
……明日以降、か。
怜は心の中でつぶやいた。
もう、これで最後かもなんて思わなくていいんだ。
もう、あと一度だけでも会えたらと願わなくていいんだ。
そばにいてほしくてたまらなかった人が、これからはずっと傍らにいてくれるーーー
今までは願うことさえ自分に許さなかったその幸せな事実に心が震えそうになる。
「おやすみ」
怜はとなりに横になった愛しい人の頬にキスを一つ落として自分も目を閉じた。
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