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砂浜に並んだ足跡がついていく。
「もう今年も終わりだなんて信じられないー……あっ」
腕に買い物袋を抱えた理佐が砂に足をとられそうになった。
「ほらだから歩道を歩いたほうが楽だっていったろ」
「だってこの砂の上を歩く感じ、好きなんだもん」
「……変なヤツ」
昨日はあまりにいろいろあったせいか、大晦日の今日は二人とも目が覚めたらもう昼過ぎであった。
「休みだしこのままずっとここで過ごそうか?」
ベッドから半身を起こしながら怜がこちらを見た。肩から毛布がするりと滑り落ちて鎖骨の下あたりまであらわになる。
その色気に当てられて理佐は思わず 「う、うん」 と言いそうになってあることを思い出した。
今晩、年越しのパーティがこの高級マンションのコミュニティ・ルームであり、それに呼ばれているのだ。
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