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(はあ……)
私の座っている席のそばの窓からは交差点が見える。
赤と緑の信号が点滅しているのが、まるで夜道を飾るクリスマスライトのようだ。
交差点を通り抜けるのは少し酔った風情の帰宅を急ぐビジネスマンか、男の子たちのコートのポケットに手を突っ込んで歩く女の子たちか、それとも……
あー、もう見るのやめた。
目線をあげると高いビルの向こうに、上弦の三日月が柔らかな光を放っていた。
この三日月、パリからも見えるのかな。
地面は海の向こうで直接繋がっていなくても、空は彼のいるところまで繋がっているんだ。
シャンゼリゼとかパリのメインストリートは、今きっとクリスマスの飾りでとても綺麗なんだろうな。
そこを怜は歩いたりするんだろうか。一人で、それとも?
あー、やめやめ!
妙な方向に流れそうな思考を断ち切ろうとカラフルなメニューを手に取った。
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