アメリカ編: 何度でも

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*** 「ジョセフとヨリ戻したんだって?」 シンディーがキールロワイヤルの入った細いフルートグラスを揺らしながらマイクの方を見た。 「誰から聞いたの?」 「ジョセフ。なんか浮かれて鼻歌なんか歌ってたから、問い詰めたらプロポーズが成功したって」 ふっと笑う声が隣から聞こえた。 このテラスバーは道路に面しているが、その道路の向こうにはすぐ海が広がっていて先ほどから優しい潮風がこちらに向かって吹いてくる。 「あなたも忍耐強いわね」 「ほめられてる気がしないね」 「私が呆れてるのはジョセフの方よ。長年自分を支えてきたあなたをほっぽり出して」 「別に僕はほっぽり出されたわけじゃないよ」 マイクが少し汗をかいているモヒートのグラスをテーブルに置いた。 「ジョセフはああ見えて、とても母親思いなんだ」 「でもだからって……」
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