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「だけど、彼はどうしても、どうしても母親にカミングアウトできないでいた」
「……」
「彼と母親が二人で支えあって生きてきたのを、僕はこの目で見てるから。ジョセフがどうしても無理だというのなら、受け入れる覚悟はできていたんだ」
「そんな……」
シンディが顔をしかめた。
「そんな時にリサちゃんという存在が現れて、彼の母親が倒れた。ジョセフはリサちゃんを可愛がってたしね。だから僕から離れることにしたんだよ」
「でもそれって、」
「僕がいなくなってジョセフがどう思うか。寂しいと思ってくれるのか、それともリサちゃんとの関係を育てたいと思うのか。彼に考えてほしかったんだ。僕の気持ちは変わりようがないから」
「……」
シンディーはグラスに伸ばしかけた手をそのままテーブルに置いた。
「ねえ、こんなことあなたに聞いていいのかわからないんだけど、」
テーブルに置かれた指先が迷うように空を切った。
「ジョセフはリサのこと好きだったと思う?」
「わからない。僕よりは女性も受け入れることができるんじゃないかと思う。実際に女の子と付き合ってるのは見たことはないけどね」
ずっと僕といたから、とマイクが笑った。
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