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「でもリサには彼がいるでしょう」
「そうなんだよ。リサちゃんの気持ちが揺るがなかったね。恋人とずっと離れてて不安に思うことはあったみたいだし相談もされたけど、自分が好きなのはこの人しかいないんだって点ではまったくブレなかった」
「ほとんど会いにも来れないような相手だったのに、すごいよね」
「うん。リサちゃんの一途さを見てて、僕もジョセフがどういう結論に至ろうと、自分の気持ちにだけは嘘はつくまいと思ったんだ」
マイクはグラスを手にしたが口にはせずに、またテーブルに置いた。
「たとえそれが、友人として彼の幸せを見守るだけの立場になったとしてもね」
「マイク、」
シンディーがマイクの肩に手を置いた。
「あなたの一途さも相当なもんよ。リサといい勝負だわ」
ハハハッと笑う声に、「でもあのアホチーフ、ようやく真の幸せに気がついたってわけか」 とシンディーがつぶやいた。
「アホチーフって……酷いな」
今度は笑いをかみ殺したような声が聞こえた。
「あなたほどではないけど、あいつとは長い付き合いだから。あ、もちろん仕事仲間としてって意味よ。でも本当に良かった。婚約おめでとう!」 とシンディーが自分のグラスをジョセフのにぶつけてきた。
「結婚式には呼んでくれるの?」
「うん、ぜひ来てほしい。ありがとう」
彼女のグラスに、今度はマイクがチン、と自分のグラスをぶつける番だった。
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