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この門をくぐるのは本当に久しぶりだ。
怜は門のそばにで立ち止まり、奥に見える建物を見つめた。
大学に入る前の夏、寮に送るもの以外はほとんどの私物を処分してしまい、それから戻ってくることはなかった。
自分の家でありながら、自分の居場所はここにはないという思いを拭い去ることができなかった子供のころの日々。
― 怜、お願いがあるの。
元旦にアップルサイダーで乾杯した後、理佐はためらいがちに、でもしっかりと自分の手を握りしめながら言った。
― お正月の挨拶にをしに、海先生の家に一緒に行ってほしいの。
確かに、理佐の件ではいろいろと世話になった。それなりの礼儀は尽くすべきだろう。
(だけど15年ぶりだぜ?)
今さらどんな顔してマリアに会えばいいというのだ。一度も会ったことがない幼い義理の弟たちもいるというのに。
「怜、」
一歩先に敷地内に歩を進めていた理佐が振り返った。
「行こ? みんな待ってるよ」
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