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「怜、あの、」
彼の表情からは怒りも悲しみも読み取れない。それがむしろ理佐の不安な気持ちを駆り立てた。
前にもこんな彼を見たことがある。心の扉を閉ざしてしまう彼を……。
「ごめんなさい。あの、でも、ジェイたちを怒らないであげて。輪っかは私のアイディアだったの。ちょっと早いけどもうすぐ怜の誕生日だし、それで……」
今度こそ、ちゃんと折り紙の輪っかの飾りを生かして彼の誕生日を祝いたかったのに。
でも……
「ごめんね、あれはやりすぎだったのかもしれない。だけどみんな怜に会うのを楽しみにしてて、それで、」
「俺の、」
「え?」
前を向いたまま、怜が静かに口を開いた。
「俺の居場所なんかここにはない」
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