アメリカ編: 何度でも

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「先にマンションに戻る。連絡くれたら迎えに来るから」 殆ど抑揚のない声でそう言って立ち上がった怜に、理佐が叫んだ。 「待って、ちょっと待って!」 部屋を出ようとする彼の前に理佐は必死になって立ちふさがった。 「どうしてそんなこと言うの。言ったよね。みんなあなたがここに来るのを楽しみにしてたって」 「理佐、」 足元に視線を落としたまま怜が言った。 「ここはもう俺の家じゃない。というか、元から俺の家じゃなかった。その証拠に、マリアはああして父さんとの子供を産んだだろう? ジェイとウィルだっけ? あの4人でこの家は完結しているんだよ」 「そんな、」 「別にそれが悪いと言ってるわけじゃない。4人家族でここで幸せに暮らしているんなら結構なことじゃないか」 「れ、怜は、ほんとにマリアさんが何も思わずにここで暮らしてきたって、そう思ってるの!? 」 理佐の強い口調に、怜は部屋に来て初めて彼女の顔を見た。 「理佐、なんで君が怒る必要があるんだ」 「お願いだから、こっち来て!」 そう言うと理佐は怜の腕をつかんで廊下の少し先の別の部屋の中に引っ張り込んだ。
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